教室のドアの前につくと何の戸惑いもなく彼はドアを開け中に入って行った。私はというと、いつも新しい環境に入っていくのが苦手だったから深呼吸をしてから一歩踏み出した。
「姫と朝王子だーー!!」
教室に入った瞬間、幾人かの声が重なった。男子生徒はゲッと苦虫を噛んだような顔をして、明らかに女子とは正反対のリアクション。苦手なんだよな、こういう注目されるの。と思いながらも席につく為に黒板を見た。出席番号順に丁寧に名前が書かれており、私は割と前の方の席だということがわかった。後ろを振り返るとすでに数名の生徒達が着席していた。その中に先程の彼も座っている。黒板の席順を再確認し、彼の名前をチェックする。
四角に囲まれた席の図の中に【姫宮】と書かれていた。姫宮だから姫なのかと、しっくりくる苗字に納得しつつ席に着こうとした。