王子と姫と王子と


落ち込んできたところでHR(ホームルーム)が始まる。担任の吉田先生が一人一人の名前を呼ぶなか、返事が無い生徒がいた。
王子君だ。
女子が王子君がいなくて残念そうにしている。もちろん私も同感だ。
一限目の数学の教科書を出そうとした時に、私の机に影ができた。
「おはよー。大寺原さん真面目ー」
いつもよりクシャクシャの髪の毛の王子君が眠そうに私に挨拶をした。苗字を呼んでくれたことが嬉しくて息ができなくなる。なんとか通常通りに挨拶をして遅かったねと、付け足しといた。