王子君の紹介も終わり、とうとう私の番がきてしまった。朝王子がんばれーと女子が口々に私を応援してくれている。少し息を吐いて
「大寺原 朝子です。お味噌汁はワカメと豆腐と玉ねぎ派です。」
と、冷静を装って言った。前にいる王子君が振り返って笑った。他のクラスメイトもきっと笑ったと思う。でも王子君以外の声も顔も見えなかった。まさしく恋は盲目である。