校長先生の子守唄のような話しに、いつもなら白目を剥いて寝てしまう私も今日は違った。背筋も伸びて全てが清々しい気分である。私とは実に単純な人間だ。朝、王子君と話せたからだろうか、それとも王子君の後ろの席だったからだろうか。何にせよ今の私は幸せいっぱいだった。
そんなことばかり考えていると、あっという間に始業式も終わってしまった。各々のクラスの人達が教室に戻る時に、ここぞと言わんばかりに王子君の周りに女子が群れ始めた。いつものことだ。私はそれをずっと遠目で見てきたのだから。