ズルズルと不格好に降りてきた私を支えるように彼は手を添えた。高い所から降りられた安堵感と恥ずかしさのあまり泣きそうになる私に彼はイタズラっ子のように笑ってみせた。
「ジャンプして飛び降りてくるかと思った」
なんだかよくわからないが、この時私は落ちたのだ。恋に。吊り橋効果なのかもしれない。たまたま助けてくれた彼があまりにもイケメンだったからかもしれない。でも恋をしたのだ。
その後のことはどうなったかぼんやりとしか覚えていない。
クラスも違ったし、二度と関わることもないだろう。ただ遠くから見ているだけで幸せだった。
