「王子様、じゃなくて大寺原…さん、ね。おっけーおっけー覚えたよー俺。」

神様ありがとう。生きててよかった。王子君は冷たそうな顔をしてるけど、実際に話してみるとのんびりとしていてマイペースな人なんだ。私は王子君のことがほんの少しわかって嬉しかった。見ているだけでは絶対に気付くことができなかっただろうから。
3年D組には、私、朝王子こと大寺原 朝子と、昼王子こと王子 照吾君と、姫こと姫宮君の三人がそろった。
今年は高校生活最後とはいったものの、私は今まで通り見つめるだけの片想いで満足するつもりだった。むしろそうしたかった。