名前も知らない王子様

「いーじゃんッ。
楽しいし」

「たの…」

「人魚なんて可愛いじゃん」

楽しいのは蛍だけ

と嫌味を言う前に蛍が先に意見する。

(私の意見は聞かないってこと?(呆))

「素敵な恋が舞い込んできそうじゃないッ?」

楽しそうに言う蛍に

「物語の人魚姫は王子様と両思いになってないけど?」

冷静なコメント。

「…………
恋した分だけ女のコは素敵に……」

「その後人魚姫、泡になって消えてるから」

「………」

笑顔のまま蛍が固まる。

「全く…」

「全くって何よー!!」