真っ暗な部屋のなか。左手に握る携帯の無機質な青白いひかりだけ。







「いつも元気で笑顔が絶えない」このキャッチコピーに疲れたのはいつからだろう。

「なんでもそつなくこなしてる」んじゃない。そつなくこなす私を望んでる周囲に期待通りの自分を演じているだけ。

たまに、本当は皆私の本性を知っているのではないかと思ったりする。知っていてそれでもなお作られた私のイメージを求めているのではないかと。

誰も私のことを知らない場所に行ったら、今度は素の私でいられるのかと少しの期待をすることもあるが、長年染み付いたこの役は、もはや演じるつもりなど必要のないくらい本物の私を覆っている。