これだけの習い事をするのには理由がある。
私の家は代々受けつがれてきた伝統のある家系。
おばあさまの龍先時茜音（りゅうざきじあかね）はとても礼儀に厳しく、常に着物という姿でいる。
憧れの人物。
しかし、憎みたい人物でもあるのだ。
そしてお母様の龍先時瞳子（りゅうざきじとうこ）は亡くなったおじいさま譲りの穏やかな性格。けれど、怒るととても怖い。
私にはお姉さまもいる。
龍先時弘美（りゅうざきじひろみ）。
常にラフな格好。そして、何といっても留学生なのだ。
私の家には何人かのお手伝いさんや、着付けの生徒。などが住み込んでいる。
一番中のいい、藤原陽菜は１７歳にして、着付けの先生見習いだ。