ラーファンは懸命に剣を振るうも、まるで見てもらえない事に苛立ち足音を立てて男に歩み寄る。

 目の前に影が出来た事でようやくネルオルセユルは青年と目を合わせた。

「なんだ?」

「あの、俺──」

 パイプをのんびりふかしている男を見下ろし、続けようとした言葉にやや躊躇い目を泳がせる。

 詰まらせていた喉をごくりと鳴らして意を決した。

「アウトローか騎士になりたい?」

 真剣な面持ちで応えた青年に眉を寄せる。

「はい。俺はあなたのようになりたい」

 そう言われる事に悪い気はしない。

 しかしながら、浮かれて調子の良い言葉を並べる訳にもいかない事も承知している。

「やめておくんだな。お前の腕では無理だ」

 少しの優しい言葉もなく言い放たれ、気分を害しながらも肩を落とす。