世界は今でこそ落ち着いているが、数千年前までは混沌としていた。

 それまでは多くの民族が住処(すみか)となる大地を縄張りとして主張し、多種族とも何らかの小競り合いを繰り返していた。

 各地で領土争いが繰り広げられ、数百年続いた先の大戦でようやくの決着を見せた。

 長らくの大戦で多くの者が命を落とし、淘汰され世界は再び落ち着きを取り戻した。

 この世界は大小いくつかの大陸と小さな多くの島々からなり、それらを囲む海を通じて交流がなされている。

 その中で、最も大きな大陸の東の地に王都メナ・アラシエスが築かれていた。

 各地に住む民族はそれぞれに王や女王を据え、メナ・アラシエスは人間種族を統括する役目にある聖王が住まう最も大きな都市だ。

 街を見下ろすように建てられた聖王の城は大陽の輝きにも負けぬほどに美しく荘厳でその眺めは人であることが誇らしく思える事だろう。