英雄の天意~枝葉末節の理~

 考えていても先のことなど解りはしない。

 翼竜の背から大地を見下ろし、ソーズワースの待つ地に目を向ける。

 ようやく想いが成せる、この目に世界を映すことが出来る。

 人ではなくなっても心までは変わらない。

 解き放たれた心情に自然と顔がほころんだ。

 しかれど、永きにわたり背負い続けてきた哀しみを一度に拭い去ることは容易ではないだろう。

 それでも、季節が冬から春に移りゆくように、英雄はその心を花で満たしてゆくだろう。

 これからの永きに渡る年月を彼がどう過ごしてゆくのかは、彼自身に委ねられるものだ。

 エスティエルはこの世界を見守り続ける英雄の旅が良きものであることを祈り、彼の形の良い指にはめられた指輪(リング)とのつながりを静かに終えた。





 END