凜とした美しい神は地の底に墜ちて姿を変貌させた。

 再び輝くために策を練れば練るほどに醜悪になってゆく。

「冥王ヴィテトエル──」

 神話の通りの者だっということか。

 神など本当にいるのだろうかと思ってはいた。

 目の前にラーファンがいなければ信じることは出来なかっただろう。

「冥王はずっと待っていた。この世界を手に入れる機会をな」

 必ずそれに足る存在が生まれるはずだ。

 ヴィテトエルは創世の神々の一人、それを予測出来ない訳がない。

「そこに君が現れたというのか」

「違うね」

 ──違う?

 では何故、彼はここにいる。

「俺は結局、お前の引き立て役でしかなかったのさ」

 溢れる憎しみの感情は未だ全てを把握出来ないナシェリオに向けられた。