ここにいても仕方がない。せめてラーファンの死を彼の両親に報告しなければと、乗ってきた馬を探したがすでにどこかに行ってしまっていて仕方なく歩くことにした。

 野を歩いているとどこからか馬のいななきが聞こえ、逃げた馬が戻ってきたのかと振り向くとそこには、見知らぬ馬がこちらに駆けて来ているではないか。

 灰色の馬はいぶかしげに眺めていたナシェリオの前で止まり、まるで乗れとでも言うように胸を鼻でこづいた。

「一体……。あ」

 もしや、これが贈り物かと馬の王の言葉を思い出し馬の様子を窺うように首をさすり思い切って飛び乗った。

 馬はバランスを整えると、主の行き先を尋ねるように頭を軽く振った。

「ありがとう」

 旅路の友を得たナシェリオは表情を険しくし村に進路を取った。