英雄の天意~枝葉末節の理~

 ナシェリオはわずかに群生する花の傍らに穴を掘り、掴み上げれば崩れる塊を慎重に持ち上げて友の遺体を埋葬した。

 最後に彼の剣を墓標として地に突き立てる。

 作業を終えて我に返り、友を喪った哀しみに両膝から頽(くずお)れるも、ついぞ涙は出てこなかった。

 墓を見下ろしてこれからどうすればいいのか途方に暮れていたとき、遠方から馬のいななきが耳に響いて不思議に思いそちらに目を向ける。

 ナシェリオは向かってくる影に瞳を凝らし、捉えたその姿に我が目を疑った。

「まさか、そんな」

 野を駆ける力強い四肢(しし)と艶やかな毛並み、風にたなびく見事なたてがみは雄々しく溜息が出るほどに美しい。