英雄の天意~枝葉末節の理~

[我の血を浴び、そなたは永劫の報いを受けるのだ]

「やめろ」

 逃げられないようにナシェリオを睨みつけ、ドラゴンは己の胸に腕を沈めた。

 そんな光景を目の当たりにして体は強ばり渇いた喉が引きつる。

 ゆうるりと引き抜かれた手には、脈動する心の臓が握られていた。

 それはナシェリオの頭ふた回りほどもあり、胸の奥に響くような低く力強い音を響かせていた。

 とても、余命いくばくもないもののそれとは思えなぬほど活き活きとしている。

[永遠をかけて償うがいい]

 頭上に掲げられた心の臓から滴り落ちる液体がナシェリオを徐々に赤く染めていく。

「やめろおー!?」

 ──握りつぶされた塊から吹き出た血が降り注ぎ、口の中に鉄の味を感じ全身が生臭さに満たされた次の瞬間、意識を引き離した。