「ラーファン……。もう少し時間をかけてドラゴンを観察してからにしよう」

「なに言ってる。時間なんかかけていられない。今から倒すんだよ」

 今更ひよるナシェリオを軽く睨みつける。

 これから闘う緊張と意気込みからか、ラーファンの言動はいささか刺々(とげとげ)しかった。

 陽はまだ高く、目的のドラゴンが夜行性なのかは解らないが決行するのは今しかないとナシェリオをせっついた。

 そうして、二人は恐る恐る洞窟に足を踏み入れる。

 天井からは乳白色のつららが無数に垂れ下がり、地面から突き出た鍾乳石は地獄から這い上がってきた手のごとく上に伸びていた。

 凹凸(おうとつ)のある足元はとても歩きづらく、ドラゴンがいるという意識からか二人の目には異様な風景として映し出されていた。