それでもラーファンはなんとかなると言い張ってナシェリオの言葉を聞こうとはしない。

 どこからそのような自信が出てくるのだろうかと半ば呆れて後ろに続くが、旅に同行すると約束した条件を忘れてはいないかと不安になる。

 二人は洞窟から少し離れた場所で馬を下り、闘う準備を整え歩いて向かった。

「あったぞ、あれだ」

 大きく口を開けた洞窟からは冷たい空気が漂い、ぽつりぽつりと天井の抜けた穴から差し込む陽射しで内部は薄暗くなっていた。

 暗闇でない事に安堵しつつも、おぼつかない足元を照らすためにたいまつを灯す。

「いいか? 入る前に確認しておくぞ。俺がドラゴンの注意を引き付けるから、その間にお前が魔法で攻撃するんだ」