「その剣の輝きと柄にある模様が貴方が何者なのかを物語っております」

 あえて、それが何かを語らない老人に眉を寄せる。己が何者かを自覚しろとでも言うのだろうか。

「魔獣退治を──」

「渡り戦士にでも頼めばいい」

 言い切るのを待たずに返した。

 何者なのかを知っていて声をかけてくる者など頼み事がなければいるはずもなく、ましてやそれを最後まで聞く気もない。

 老人は青年の態度にやや驚いたような顔をして視線を外す。

「申し遅れました。わたしはニサファ、ここから南の方角にある岩山近くの小さな村の長老をしております」

 ニサファと名乗った老人は諦めるつもりはないらしい、面倒だと顔に表すナシェリオに知らぬ振りをして話を続けた。