そんなことを思い、視界を満たす風景にその広大たる世界を恭(うやうや)しく眺めた。

 それと同時に言いしれぬ不安が湧きあがる。

 なに一つとして知り得ない世界は、輝ける希望だけを与える訳ではない。

 それを恐れていては何も始まらないのは解っている。

 それでも、ナシェリオにはあえてそこに飛び込む理由はなかった。

「いい天気だなあ」

「そうだね」

 呑気に発したラーファンに素っ気なく返し、いずれ訪れるドラゴンとの対峙に気が重くなる。

 彼は目標に向かって希望だけを胸に携えている。

 その様子にナシェリオも笑みを浮かべるが、やはり不安は拭いきれない。