「ラーファン」

「なんだ?」

「両親にはちゃんと……」

「ああ、もちろん。ドラゴンを倒して帰ってくるから待ってろって言った」

 胸を張るラーファンに小さく溜息を吐く。

「いいから聞けよ。俺たちが倒すのはここから東に五日ほど行った洞窟にいるドラゴンだ。身の丈はでかいが随分と細い奴らしい」

 倒せそうだろう?

 ラーファンは笑って言うが、ドラゴンを見た目だけで判断するのは危険な事くらいナシェリオは知っている。

「それまでの道程も油断してはだめだ」

「解ってるって」

 彼は西の地は全て村の周囲と似たようなものだと考えているのだろう。

 でなければあのとき、わずかな違和感にも気がついたはずだ。