「あれほど優美な剣舞は初めてだ。よほど鍛錬しなければあそこまでにはなるまい」

 出来ればもう一度じっくり見たいが、偶然に居合わせたものだから頼んでも見せてはくれないだろう。

 そう言って残念がる渡り戦士から視線を外す。

 ナシェリオは「下手だから」となかなか剣舞を見せてはくれない。

 ラーファンには剣舞の善し悪しはわからないものの、ナシェリオの舞う姿は美しいと思っていた。

 ネルオルセユルがこうまで言うのだから、きっと彼の剣舞は素晴らしいのだろう。

「ラーファンとか言ったか。確かに外に出て学ぶ方法もある。ほとんどがそうだ」

 だがな、それを待ってはくれないのもこの世界なんだよ。

「隣にはいつでも死がついて回る」

 それを忘れるな。