「え?こう書いて、“すみれ”じゃないの?
じゃあ“じゅんすず”?」
彼がとんとん、と指で指し示したのは、あたしの机に貼られた名札。
[河村純鈴]
って書かれてる。
“じゅんすず”って。(笑) じゃあってなに。
この人、天然?と思いながら、あたしは小さい声で答えた。
「いえ、あの……前者です」
するとその人は、不安げな表情から一気に笑顔になった。
「良かった!
“すみれ”か“じゅんすず”で悩んだけど、今日は勘が冴えてる!」
「………そう、ですか」
悩んだんだ。そこの二択だったんだ。
なんかこの人、
思ってたよりも、
………ちょっと変わってる。

