緑の扉と遠い過去

台所へと消えた祖母と母親の姿を見届けると、令二は畳の上で大の字になった。

「そうだ。令二のために作っておいたものがあるんじゃった。スイカを食べたら見せてやろう」

「そうなの?」

「おッ、令二よかったな」

「何だろ?うーん、ちょっと楽しみ」

そこへ台所から戻ってきた祖母と母親がスイカを運んで来た。

「ほら、よく冷えてるからお食べ」

「お~、おっきいね」

「スーパーで売ってるものはみんな小振りなのよね」

「このスイカはじいちゃんの畑で採れたんだぞ」

「へ~。うん、凄くおいしい」

「そうかそうか。たくさんあるから遠慮するんじゃないぞ」

「はーい」