不思議と、涙は出なかった。
………いや、いっそのこと、
涙と一緒に全部流れてしまった方が、よかったのかもしれない。
りぃくんのことが好きだって気持ちも、
楽しかった四年間の想い出も、さっきの冷たい言葉も。
でも、あたしの身体はそんなに都合よく出来ていなくて、
涙が流れない代わりに、どうしようもない苦しさだけが残った。
あたしはふらふらと、家路を歩く。
二人で歩いた道。立ち寄った店。
りぃくんが好きだったハンバーガーショップ。
待ち合わせしたけやき公園。
………なんであたし一人で歩いてるんだろう。
つい昨日まで、大好きな笑顔が、そこにあったのに。

