「別れよう。」




突然言い放たれたその言葉の意味が、最初はよく理解できなかった。






「わ、かれる………?」



ただ頭が真っ白になって、奈落の底に落っこちるみたいで。








「………………ごめん。俺、他に好きなやつが出来たんだ。」




淡々とそれだけ言って、教室を出ていく背中を、
あたしは呆然と見つめた。








(………一度も、目が合わなかったな。)








それが、もう戻れないことを示してるのかなって、
教室で立ち尽くしたままあたしはぼんやりと考えていた。




夏の終わりかけの夕空が、妙に綺麗で、妙に哀しかった。