嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


「ええ? 馬鹿になんてしてないよ。可愛いなって」
「可愛いですか? 報われなくて、チョコの御礼だって自分から言わなきゃ貰えないような、それももう迷惑だから最後にしてって言われた私が、可愛いですか?」

大粒の涙を溜めて、美鈴ちゃんは私に詰めよった。
19歳といえば、この前みたいなワンピースでオシャレしたいと思う。
でも美鈴ちゃんは、自分からその道を選び、着物を着てネイルもせず慎ましく夢に向かって頑張っている。


努力すれば、全て実るならば、私は死ぬほど努力して晴哉を生き返らせていたよ。

絶対に報われると思って生きていくのは、正直しんどいんじゃないかな。

「ごめんね、美鈴ちゃん。私、弱くないけど強くもないんだよね」

苦笑いしながらスムージーを飲む。
逃げてばかりって所は否定しない。
逃げてばかりだし、すぐ幹太の背中を探してしまう。

ご飯を作ろうとすると、
車に乗ろうとすると、
桔梗の花を眺めると、
私の体は、震えて今にも崩れてしまいそうになる。

私の指を掴んでくれる晴が居なかったら、私は本当にこの世から消えていたんだと思う。