嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


その射抜くような力強い瞳から目が離せなくなる。
視線が絡みあったら、振りほどけなくて――金縛りにあって、息さえ満足にできない。
怖い。
怖いけど、知りたい。知りたく、ない。
私はこれ以上踏み込んで欲しくなくてブレーキを踏むのに、幹太は視線を離さない。

「俺ばかりが背中を向けて逃げてるような言い方ばかりしやがって」
「幹太――んっ」

私が何か言おうとした唇は、塞がれてしまっていた。

縫い付けられた手が、布団に更に強く押し詰められていく。

初めて晴哉以外の男のキスをした。

優しく啄むようなキスではなく、荒々しく飲む込まれそうなキス。

言葉をくれない幹太は、――私なんかの言葉も要らないんだ。
要らないから、聞きたくないから。


何だか悔しくて涙が溢れて来たのに、

覆いかぶさる体温が幹太だと思うと嫌悪感なんて出て来ないなんて。

自分が自分で信じられなかった。