嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


「そんなの、分かりきったことだ」
着ていたジャンバーを脱ぎながら、幹太は不機嫌そうに答える。
それが更に勘に触ってしまう。

「じゃあ、晴にパパなんて呼ばれないで! ちゃんと否定してよ!」
「は?」
眉をしかめた幹太に、つい地団駄ふんで、叫んでしまった。

「晴哉の場所、奪わないで! そんな所まで、アンタが入って来ないで」

「待て、何の話だ? 落ちつけって」

ヒステリックに叫ぶ私に、手を伸ばそうとして宙で止まった手はいつまでも私には届かない。

「保育園で、晴が幹太をパパって呼んでるって! そんな仲なのよって悔しい。晴哉の居場所を奪われた様で悔しい! 晴のパパは一生晴哉よ。代わりなんていなし、代役なんて私は要らない! 必要ない!」

触ろうともしない、その動かない手も大嫌い。
それなのに、晴に近づいて、――晴哉の居場所を奪うなんて。


「もう幹太に晴の御迎えは頼まないから、あの子の父親の代わりになろうなんて考えないでよ!」