ほんの数分してから、エンジンの音が聞こえてきて、静まり返った夜を切り策には十分の音だった。
縁側から、サンダルで降り立つと、その音に気付いた幹太が此方を覗きこんだ。
その、無地表情な顔を見ると、両手が震えてくる。
「ちょっと、いい?」
お義母さんたちはとっくに眠ってしまったとは思うけれど、聞いてほしい話では無かったので、幹太を私の家へ呼びだした。
訳が分からないといった雰囲気を出すが、私が不機嫌なのをくみ取り、幹太は素直に従った。
「あの子なら、遅くならないうちに送って帰った」
「そんな話をしたいわけじゃない」
玄関で揉めたくなくて、晴の子供部屋に幹太を押しこんだ。
私が学生時代に使っていた6畳の小さな部屋だ。
そのままにしてある私の机には、コルクボートに貼った晴哉の写真と私の写真で溢れている。結婚式のウエルカムボードとしても使った奴だった。
「何?」
「晴のパパは、晴哉なの。晴哉しかいないの」



