「今日はお休みだったわね。遠くまで遊びに出てるのかしら。珍しいわね」
「うん、ちょっと殴りたくて待ってるのに」
「あらあら物騒ね。晴ちゃん、私と一緒に寝ましょうか」
「あ、駄目ですっ まだ夜泣きとかしますし」
「じゃあ、喧嘩した後に迎えに来なさいね」
にこにこと笑って、それ以上は何も聞かなかった。
ただ、寝息を立てている晴を、毛布ごと奪うとそのまま奥の自分たちの寝室へ連れて行ってしまった。
優しく、腕の中で眠る晴の顔を覗きこみながら、
その後ろ姿が暖か過ぎて、涙が出そう。
あの腕に抱かれて育ったから、晴哉はあんなにまっすぐで真面目で、私が持っていない要素を全て持ち育ったんだろうな。
幹太に怒りをぶつけたくて待つだけの私は、さぞ、滑稽なことだろう。
空にぽっかりと浮かぶ月に映る私の姿は、決して綺麗なものではないはずだ。
晴哉がいてくれたら。
そんな弱音が吐き出てしまうこんな月の夜。
私はそんな弱い自分を否定したくて、幹太を待った。



