「ごめんなさいね、桔梗ちゃん」 晴の抱き締める手が、震える。 追いかけてきたオカマにも何も返事をしたい気持ちが浮かばなかった。 逆に、しおらしくて気持ち悪いとさえ思ってしまう。 今、声を出せば、不満をぶちまけてしまいそう。 泣き叫んでしまいそう。 大人気もなく、話しかけるオカマを無視して家へ帰る。 オカマもそれ以上は追いかけて来なくて。 空は茜色。沈んで行く夕陽の上では、ぽっかりと月の形をした穴が開いていた。