嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


無理矢理、言わせた。
幹太は、言わないと決意していたと思う。
意地になっていた部分もあると思う。

でも私は幹太の気持ちに気付けない。

気づいちゃいけないことぐらい分かっている。


私の名前は、春月堂の暖簾に描かれている桔梗の紋から付けられた。今日買ったどら焼きにも焼き印に桔梗が彫られている。
親同士が仲良しで、幹太の家の庭に毎年咲く桔梗の花が、まるで朝を迎える紫色の夜空の様に咲き乱れるのでその名を付けられた。



だからずっと私は自分の名前の由来になった春月堂も、その家の幹太も特別な思い入れで接してきた。それだけなのに。

いや、晴哉が眠ってしまった後、私を助けて桔梗の花を見せてくれた幹太は、もうそれ以上かもしれない。

でも、それだけだ。

特別でも、大切でも。

私の心の大部分を占めるのは、晴哉への思い。
晴哉の命を受け継いで晴と生きていくと誓った。