嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。



調理場の奥にはおじさんがいたけど、息子の恋路には我関せずと、もくもくとどら焼きに焼き印を押していた。

私も昨日は幹太へ怒っていたけど、次の日にはもうその気持ちが収まってしまうような程度だし、余計なおせっかいで身を滅ぼしたくないからのんびりしておこう。

「おじさん、おばさんは配達?」

こんな面白い状況の幹太を見られないなんて、と辺りを探しても居なかった。

「廊下のスケジュールの所を見てくれ」

廊下に出て、ボードやカレンダーを見ていたら、焼き菓子の配達とメモが書かれていた。
どこかお世話になった所への挨拶も兼ねていると思う。

「おい」

ボードのメモに、見ましたよという意味で名前を書くのがルールなので、名前を書いていた私に、幹太が後ろから名前を呼ぶ。

「あ、いってらっしゃい」

「お前は本当に俺に興味ないよな」

「そう? あんま聞いたらいけないかと思ったから」

「……俺が誰が別の女を好きになっても?」