嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。



「晴は本当に私が行くから、ホワイトデーのお返ししてきなよ」

「……」
後ろから、私に背中を突かれて、不服そうな顔で振り返る。

「お返しを用意しなかったのに、受け取ったアンタが悪い」
一瞬、眉を寄せてきつく睨まれたが、結局は何も言わずに、小さく溜息を零して観念したようだ。

「そのおはぎはどうするんだ」
「一旦、実家に寄ってください」

「……分かった。支度する」


幹太の顔は渋いままだったけれど、美鈴ちゃんの顔はピンク色に染まり、可愛らしくガッツポーズをすると美麗ちゃんにVサインまでしていた。

恋をしている。隠すことも忘れて。
冷たい表情でも、嬉しそうなのは幹太がどんな奴かちゃんと分かってくれているからだ。

申し分ない、良い子だと思う。

御本家の跡取りだとか小さなことに拘らなきゃ、恋人になってしまえば良いと思うぐらい。