嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。



「って、美鈴ちゃん、幹太に渡したんだ。菓子職人に渡すなんて」
「問題はそこッスか?」

咲哉くんの突っ込みが少し砕けてきた気がして嬉しいと思いつつ、首を傾げる。

「受け取ったから幹太さんは困ってるんじゃないっすかね。本命貰っておいて、あの渋い顔は、――女の子が可哀想ですよね」

「そうか。受け取ったのに、デートは嫌って最低ね」

暖簾から少しだけ顔を出す。

土日に休みが取れない幹太は、半休を貰って和菓子の賞の研究したり、仕入先と打ち合わせしたり、新作考えたりと結局、仕事の事しか考えていなかったりする。
だから、きっと今日も予定があるのだろう。

それでもオシャレして会いに来てくれた美鈴ちゃんにあの態度はどうなんだろうか。

暖簾から顔を出して、二人の様子を見ると、美鈴ちゃんは店の中にあるお待たせしてしまう時にお茶をお出ししたり、味見してもらったりと少し座れるスペースに座っていた。

あれは、本当に幹太を待つ。