嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


「幹太さん。私待ってますよ?」
商品を受け取りながら、美鈴ちゃんも負けなかった。
大きな瞳で、幹太を見上げている。

「今日は……保育園に晴を迎えに行く予定がある」

幹太は申し訳なさそうにもぶっきらぼうにも見える言い方で言うと、すまない、と小さい声で謝った。
謝ったけど。
「ちょっと! 晴は私が向け出して迎えに行くんだから、うちの子を言いわけに使うな!」
ついつい暖簾の後ろから援護射撃を打つと、美鈴ちゃんもキッと幹太を睨みつける。

「って言ってます。良いですよね? 昨日のわくわくした私の気持ちを考えて、今日は付きあってくれますよね?」

昨日のわくわくした気持ち?

何があったけ? と隣の咲哉を見ると、呆れたような顔でこっちを見た。

「ホワイトデーですよ。昨日はホワイトデーだったっス。桔梗さん、誰にもあげなかったんですか?」

咲哉くんに軽蔑されたような、非難轟々の視線が痛い。

そう言えば、全く忘れてたし、誰にもあげてもないや。