嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。



「貴方より、幹太を押し倒してでも変えようとした美鈴ちゃん……だったかしら? あの子の方が何倍も素敵で魅力的よ」
「押し倒す?」

「ふふ。告白現場を見ちゃったのよ。貴方しか見てない幹太には、それぐらい強引な女の子の方が良いのかもしれないわね」

それでも、幹太は貴方が良いのかもしれないんだから、貴方って本当にずるいわね。
巴ちゃんはそう言うと、そのままバイクで帰って行く。ただそれだけを私に伝える為に、ずっと待っていたんだ。
夕暮だった空は、すっかりと夜に染まり、月が優しく照らしている。
どこからか匂ってくる味噌汁の匂いが、堪らなく私を切なくさせた。
そのまま家には戻らずに、まだ開いているはずのお店の方へ走って行く。
「幹太っ」
店に飛び込むと、幹太ではなく咲哉くんと美鈴ちゃんの姿があった。