嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


「私みたいに一人でフラフラしている人を放っておけなかったのね、きっと。勘当同然で家を追い出された私に、住み込みの仕事を紹介してくれたのは幹太よ。製菓時代の研修先の一つだったわ。バイクが好きだから、応援してやるって」
女みたいな仕草で、頬に手を当てると嘆息した。

「本当に嫌になるわ。二人ともお節介なんだもの。それで、気づいちゃったのよね。幹太の気持ちに。だから貴方に幹太の気持ちを気付いて欲しくて、幹太と晴哉の為に何かしたくて、――貴方に近づいたのよ」

あの晴哉の法事の登場は、故意だったのか。
「嫌になる。本当に嫌になってばかりよ。足や腕を故障して、レーサーとしての地位が無くなると、女もチヤホヤしていた奴らも消えて行く中で、晴哉や幹太だけは変わらなかったんだもの。――そんな二人に大切にされて、貴方もずるいわね」

溜息を吐く巴ちゃんの言葉が重い。
全てを知っている巴ちゃんだからこその言葉だ。