「なんで報われないって思うのよ」
「晴哉が居ないから告げるなんて、俺にはあいつに不誠実なようで――出来なかった」
その時私は、幹太を初めて見た気がした。
初めて、『春月 幹太』という不器用で硬派で、頑固で一途な男を。
オレンジ色に簡単に染まってしまうのに、夜になれば淡く優しく私を照らしてくれる。
そんな、分かりづらい幹太の事を。
「私もだよ。晴哉のことしか見てなかったからさ、幹太にストレートに言われても、晴哉の顔が脳裏に蘇っちゃって、涙しか出て来ないよ」
嫌だね、お互い不器用で馬鹿みたい。
「昔話を聞いてくれないか」
幹太は、少しだけ震える声でそう告げた。
「桔梗が俺と晴哉の前に初めて現れた日の事を」



