嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


「それでも、俺の本音に噛みつきたいんだろ、お前」

「きっと、そうなるんだろうね」

自分でも分からない衝動に、自分で決着を付けることしかできない。

情けないけれど。


海が茜色に染まり、海と空の境が分からないぐらい溶けあって、息を飲むぐらい綺麗だった。
幹太が浜辺の少し手前の階段前にバイクを止めて、肩まであるガードレールにヘルメットと顔を乗せているのがちょっと面白い。

「お前、まだ足が震えてる」

「し、仕方ないじゃん! 私、あんたの車以外こんな遠出するの始めたなんだもん。本当に、信じられない!」

「や、頑張った頑張った」

そう言って私の方へ近づいてくる幹太が、オレンジ色にふやけて見えたのは、こいつが月だからだ。
太陽の色に簡単に染まっちゃうからだ。


「言わないのも言うのも辛いなら、言っちゃえばいいって思わなかったの?」

「言わないなら俺だけが辛い、言ったらお前に迷惑がかかる。これで納得できるか?」

短い髪をガサガサ掻きながら、幹太は観念したように喋りだした。


「もう認めるよ。隠せないにバレバレだし。なんでずっと隠させてくれねーんだよ。どうせ、――どうせ報われなることはないんだから」