嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


海までの道は、ただただ国道沿いに真っ直ぐ。
時間帯的に混んでいないから、ちょっと小高い丘から海まで降りて行く感じ。
今まで、仕事と保育園と家を行ったり来たりで、私は海がそんなに近くにあるということを忘れていた。
乗り物に乗れなかった事もあるけれど、多分視野が狭くなっていたんだろう。
見たくなかった、気づきたくなかった、と正直に幹太へ言わなければ。


「このままで良かった、って言ったら怒る?」

「その割には、素直じゃねーだの、喋らないだの、俺を煽ったくせに」

「まあ、でも、幹太が乗っかってこないと思ってた。幹太も同じ気持ちだと思ってたんだ」
信号が赤になって、漸く無言だった私たちは喋り出した。
どうせ、また走り出したら風がうるさくて、こうやっておしゃべりできないのに。

「手、まだ震えてる」
「あは。ばれたか」
会話すれば、気晴らしにもなるかと思ったけど、車も道路も――擦れ違う対向車も怖かった。