嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


「い、いいから、運転に集中して」

幹太の心が知りたい。
だから、スピードを出しても出さなくても私は逃げない。
怖いけど、足がすくむけど、立ち止まれないけど。

あの日の事故の記憶が消えるわけでもないけど――。

心に焼き付いて、これから増えるだろう晴哉との思い出の未来を壊した。

それでも私は、晴がいる。
この世に、晴哉が残してくれた命。

ラブラブな両親に、理解ある義母たちに、楽しい仕事場。
順調過ぎる日常は、よくできた、私の都合のいいように出来た世界で。

晴哉を失った以外、不満なんてないと思っていた。

キミの、その嘘つきな背中の優しさに胡坐をかいて、ね。