生まれた時から、私たち三人は一緒だった。
無口で怖い幹太。
口より手が先に出る短気な私。
穏やかで優しくて、のんびりした晴哉。
私と幹太は性格的に合わなくて、いつも喧嘩してたけど晴哉が居たから三人で居れた。
猫っ毛で、触ると毛糸みたいに柔らかくて気持ちが良かった晴哉の髪。
初めて結ばれた夜、あまりの痛みに声を失った私は晴哉の首に抱きついてあの髪をずっと握り締めていた。
どちらからか分からない。
けど、きっと晴哉が私みたいに短気で手が出やすくて、頭が悪い出来そこないを放って置けなくて傍に居ることを選んでくれたんだ。
晴哉の事を思い浮かべながら、左手の薬指に光る指輪を見つめる。
なぞって、唇を這わせると、彼が隣に居てくれるような気がした。
「お前の――」
少し躊躇いがちに幹太が重い口を開けた。
「お前の口から、また晴哉の話が聞けるようになってよかった」
背中を向けて、それだけ言う。



