いつ 運命の出逢いが あるかも 分からない 。


だから 私は常に " 可愛い 女の子 " でいたいんだ 。



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髪はちゃんとブローした 。

化粧水と乳液つけたし 、リップ塗った 。

制服の乱れもなし 。


身だしなみ 、… 完璧 。



「 … よし 」


「 よし 、じゃねーよ 、まひろ 邪魔 」



未だスウェット姿の弟 、千尋が鏡の前にいる私を押しのける 。



「 ちょっと 何 。てか お姉ちゃんって呼べってんでしょーが 」


「 やーだね 」


「 可愛くない弟 」


「 可愛くなくて結構 。つか 、さっきから何分 鏡の前であれこれしてんだよ 。そんなしたって姉貴は姉貴だぞ 」



ふん 、と馬鹿にしたような笑みを浮かべる 。



「 いいの 。そのうち 私を好きになってくれる人が現れるんだから 」


「 は 、何 王子様的な? 痛々しい 、誰がお前好きになんだよ 」


「 しゃらっぷ 」



生意気な弟の背中をばしっと叩いてやると、歯磨きしていた彼は反動でむせ込んだ 。



「 ごほっ…いってぇ!何すんだよ 、クソまひろ! 」