その時だった。

「あっ!」

その声に顔を向けたのと同時に目の前に落ちてきたのは、大きなつばが特徴的な白い帽子だった。

それを拾いあげると、
「すみません」

視界に入ったのは、サラリとなびく赤茶色の髪だった。

俺の前に現れたのは、キレイな顔立ちをした少女だった。

「これ、君の?」

そう聞いて、俺は彼女に帽子を差し出した。

「はい」

彼女は首を縦に振ってうなずくと、俺の手から帽子を受け取った。

そして、彼女がニコッと笑った。

その笑顔に、俺の心臓がドキッ…と鳴った。

彼女に恋をした瞬間だった。