俺は、“堺の同期”って言う立場にいる。

その立場を利用して、堺と仲良くするしか方法がなかった。

それしか、俺にはできない。

少しでも堺を狙う上司たちと差をつけたい、俺ができる唯一の行動である。

「金田、お前やけに堺ちゃんと仲がいいよな?」

ある日、先輩からそんなことを言われた。

そんなことを言われた瞬間、ドキリ…と俺の心臓が鳴った。

確か、こいつも堺を狙う1人である。

何だかヤな予感がした。

「えっと、そうっすか?」

できるだけ笑いながら、俺は言葉を返した。

笑顔がひきつっているように感じるのは、俺の気のせいでありたい。