「とにかく、よろしくね」

ニコッと、堺が俺に笑いかけてきた。

――ドキッ…

今の効果音は何だ?

「よろしくお願いします」

そう言った俺に、
「別にタメ口でもいいから」

堺が言った。

「えっ?」

そう聞き返した俺に、
「同期な訳だし、そのうえ同じ高卒仲間だし」

堺は笑いながら言った。

だから、“高卒”の部分を強調すんなってば。

そう言いたかったけど、言わないでおく。

まあ、悪い気はしねーからな。

その時から、俺は堺に恋をしてたんだと思う。

入社して間もないこの時期に、俺は彼女に恋をした。

早い時期に就職して大正解だったかも…と、思った俺だった。