「俺がある任命を受けたあと、繁華街にも手を伸ばした」
「はい」
「あのときは自分の強さを街に知らせるにはこの繁華街が一番だと思った」
「強さ?」
「あの頃は繁華街で喧嘩もしていた。いつの間にか刃向う奴は居なくなった」
ハルさんはそういうと今までで一番疲れた顔した。
「期待されてやったことが。めんどくさいことになった。だから俺は半分そのことから逃げてる」
「そのこと?」
「アンタと俺は同じと言うこと」
ハルさんの意思とは別に有名になったことだろう。
「初めはその権力を振りかざしてた、その権力を欲しがる人間が群がり始めて嫌になった」
「そうだったんですね」
「でもアンタは違う。あのエレベーターで会ったとき俺のことを知らなかった」
「はい」
「それにあのBARでウワサはどうでもいいと言った。だから...」
そう言いかけて口を閉ざすハルさん。
「どうしたんですか?」
「何でもない」

