ダンデライオン

「えーっと、ここにひまわりで」

私は店頭にひまわりが入った鉢を置いた。

「隣はクレマチスがいいかしら?

んーっと…」

開店時間まで後少し、私は今日店頭に並べる花の配置を考える。

その時だった。

「――アサちゃん?」

私の後ろから、低い声が聞こえた。

その低い声が聞こえたことに、私は驚いた。

「――えっ…?」

私を“アサちゃん”って呼ぶ人は、あの人しかいない。

でもあの人は名古屋にいるはずでしょう?

そう思いながら、私は振り返った。

「――忍兄ちゃん…?」